冬虫夏草の持つ抗腫瘍性研究の始まり
冬虫夏草の持つ抗腫瘍性に関する研究は自然薬食微生物研究所の創始者であり所長の矢萩禮美子氏と同研究所の名誉顧問で薬剤師の矢萩信夫氏らによって始まりました。
矢萩禮美子氏は義姉の患った白血病や病院での勤務での経験から、多くの入院患者が病や病院治療の影響によるQOL(生活の質)の低下に悩まされていたことを知り、
がんを中心とした生活習慣病の改善を目標に様々な有用微生物の研究を行うことにしたといいます。
当時はブナの木などの免疫力を高める成分を持つ植物を養分として子実体(キノコ)を形成するサルノコシカケの生態について解析を行っていましたが、1967年にはオガクズ培地で採集された冬虫夏草の抗腫瘍性について研究を始めました。
これはキノコ類にはタンパク質分解酵素が含まれており、冬虫夏草はタンパク質分解酵素を利用することで昆虫の細胞成分のタンパク質を分解して育つため、同じくタンパク質で構成されているがん細胞の抑制に効果があるのではないかと考えたためです。
この結果、1977年に日本医学会東北支部大会にて東北薬科大学癌研究所の佐々木健一教授、石川正明先生らと矢萩信夫・禮美子らの共同研究成果として『ハチタケの人工培養とその抗腫瘍性について』の発表を行い、
冬虫夏草に抗腫瘍性成分が含まれている事を世界で初めて明らかにしました。
冬虫夏草の解析を行うことは簡単なことではありませんでした。
ある時、薬理研究者を訪ね、冬虫夏草の動物実験の協力をお願いすると「トラック一杯分の冬虫夏草があればできる」と返答が来たそうです。
冬虫夏草は見つけることさえも困難といわれている希少なキノコであり、当時は実現することは不可能でした。
その為、我々は冬虫夏草の人工栽培技術の研究を開始して、その後十年以上の月日を経て、念願だった冬虫夏草の人工培養に成功しました。